この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】

「え……?」

 宗助は素直なる疑問を、その顔に浮かべた。成長の途上。何処か中世的なその綺麗な顔立ちは、私を期せずして苛つかせている。

 私が彼の好意を捻じ曲げて受け取ったとされても、それは仕方がなかった。それでも私にしてみれば、宗助がしたことは恵まれた境遇の上でのことであり。哀れな私に対する施しなのだと思えてしまう。

 すなわち――とても、高い頂から見下ろされている、気分だった。

 その恩を盾にして、目の前の怜悧な少年が父と同様のことを私に求める――そんな可能性なんて、まず皆無なのだろう。如何に擦れてしまったとはいえ、私だってそれくらいのことは、彼を見ていれば――わかる。

 けれども私にとっては、寧ろ何かを要求された方が気楽だ。そう思ってしまうまでに、私は汚れた俗世間の裏側に馴らされている。それは裏を返したのなら、宗助が高い場所に立っているのではなくて、私が地中の深部から這い出ていない――その、証拠だった。

 だから、宗助に敵意を向けようとしている、私は――私をキライ。


「……」

 申し訳なさそうにする宗助の視線は、その意志に反して――否応なく彼方までも、私を苛もうとしている。

 そのすれ違う想いが、私に――誤った道筋を辿らせようとしていた。

 困惑した様子の宗助に変わり、私は静寂を埋めるようにして、この口を開く。


「白岩さんを通じて、今――こうして会っているということ。つまり貴方は――私が置かれていた境遇を、正しく理解してる。そうなんでしょ?」

「あ……いや」

 口籠る宗助だけど――その問いには、答えてもらうまでもない。そう考えた私は、続けて捲し立てた。

「そう――貴方が知っている通り。なにも、貴方の父親だけじゃないわ。私がどれ程までに、この身体と心根を様々な大人たちに、汚され踏みにじられてきたことか。それを承知した上で、貴方が私に謝ったって――そんなことに一体、どんな意味があるというの。それで私の何かが僅かでも救われると――――そんな風に、思えて?」

 違う……私だって、こんなことを言いたい訳ではない。

 その時――それでも溢れ出そうとする言葉が、私たち二人を意外な形で結び付ける――その発端となった。
/579ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ