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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】

「それとも――瀬山宗助くん」

 突然、私は彼の名を口にして――

「うん……?」

 彼は驚き、そう応じる。


「貴方が、私のこと――救って、くれる?」


「……!」


 それは、あまりに唐突な申し出だった。

 けれど、宗助は――その中に込められた、私の想いを探ろうとして――真剣な眼差しを、私に向けて言う。


「どうすれば、君は――救われる、の?」


「……」


 その瞳の中の光が、何処か私を安心させる。私は強い言葉と裏腹に、彼に縋ろうとしているのかもしれない。

 でも――やはり、突飛であり酷く不躾だ。何故なら瀬山宗助は既に、私を救っていた。彼によって私は、大人たちの呪縛から――解き放たれていた筈だ。

 だから今の私は、まるで――駄々をこねる、幼子も同じ。なのに――


「もし、失ったものを取り返せるのなら。その時に、きっと……私は救われるわ」


 私のその言葉を受け、宗助はコクッと喉を鳴らし、そして訊ねた。


「君が失くしたものは……なに?」


「沢山……でも、敢えて一つを、言うのなら、それは……」


「それ……は?」


 見つめる宗助を前に、私は迷う。迷った、その挙句――



「…………恋」



 私はポツン――として。その言葉を――宗助へと、そっと渡した。
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