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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
それは二人で、進む先を決した時のこと――。
「東京は……いいの?」
私は恐る恐る、そう訊ねた。
宗助がそう望んでいるのを、私は初めて出会った時に耳にしてる。本来は、私が知るべき事情ではなかった。それでも、私に合わせようとしてる宗助に、それを訊ねずにはいられなかった。
しかし――
「いいよ。少し近いけど、家を出られるのなら何処でもいい。俺は少し、環境を変えたかっただけなんだ。大した理由なんて、別にないから……」
宗助は、淡々とその様に話していた。
私の親の借金と共に、宗助が父親に出した、もう一つの条件。それが家を出ることであったことを、私はこの時に知った。
ともかく、私はホッとする。それは、宗助と一緒に居られるのだと、そう思えたから。私の中で、正体のわからない想いが、膨らみ始めていた――それも、その証拠だったのか……。
でも、そんな私はとても、身勝手だった。宗助と一緒の高校に進めることに、喜びはしなくとも、少なくとも胸を撫で下ろしたのは、紛れもない事実だった、から……。
そして――それは、高校入学の初日。
「参ったな……」
宗助は同じクラスの中に、彼の姿を見つけて――思わず、そう呟くのだった。
そう――宗助が環境を変えることを望んだ理由は、何も家を出たかったから、だけではない。
私はその時になって、初めてその部分に気がついていた。
「東京は……いいの?」
私は恐る恐る、そう訊ねた。
宗助がそう望んでいるのを、私は初めて出会った時に耳にしてる。本来は、私が知るべき事情ではなかった。それでも、私に合わせようとしてる宗助に、それを訊ねずにはいられなかった。
しかし――
「いいよ。少し近いけど、家を出られるのなら何処でもいい。俺は少し、環境を変えたかっただけなんだ。大した理由なんて、別にないから……」
宗助は、淡々とその様に話していた。
私の親の借金と共に、宗助が父親に出した、もう一つの条件。それが家を出ることであったことを、私はこの時に知った。
ともかく、私はホッとする。それは、宗助と一緒に居られるのだと、そう思えたから。私の中で、正体のわからない想いが、膨らみ始めていた――それも、その証拠だったのか……。
でも、そんな私はとても、身勝手だった。宗助と一緒の高校に進めることに、喜びはしなくとも、少なくとも胸を撫で下ろしたのは、紛れもない事実だった、から……。
そして――それは、高校入学の初日。
「参ったな……」
宗助は同じクラスの中に、彼の姿を見つけて――思わず、そう呟くのだった。
そう――宗助が環境を変えることを望んだ理由は、何も家を出たかったから、だけではない。
私はその時になって、初めてその部分に気がついていた。