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クラス ×イト
第3章 あこガれ 【山村佳奈】
 デパートを後にした私と護。さっきの口論を気にしてか、お互いに黙って道を歩いている。何であんなに剥きになったのか、自分でも良くわからなかった。

 気まずさを引き摺ったままの私に、護がこんなことを訊ねる。

「なんで俺らのこと、皆に黙ってるんだ?」

「だって……礼華と瀬山みたいに、なりたいんだし……」

「お前の頭の中ってさ。礼華のことばっかだよな」

「そんなこと……」

 ――ない。とは、言えないけど。

 黙ってしまった私の隣りを歩きながら、護が不意に呟く。

「あーあ、俺たちって――付き合ってるって言えるのかねぇ?」

「え……?」

 ある意味でそれは――私自身の言葉のようにも、思えていた。

 けど、護は特に気にする様子もなく。

「別に。じゃあ――俺、帰るわ」

 そう言って、先の交差点を右に曲がろうとした。

「あ……」

 そのまま歩いて行く、護の背中。私はそれが離れてしまうのを、恐れたのだろうか。

 ともかく――

「護――」

「ん?」

 声を聞き、振り返った護に――


「家……来る?」


 気がつくと私は俯きがちに、そう言った。
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