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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
 一度は宗助によりそこから救われながら、再度その場所に戻ってしまったこと。私がそうなっていることを、彼に知られる訳にはいかなかった。

 宗助の側に在る自分に違和感を覚えて、私はそれをとても恐れるようになる。それと同時に私は、徐々に心のバランスを失っていくのだ。

 だから――


「ああっ、瀬山……私をっ、見て!」


 宗助の前で、自分を激しく慰める姿を晒す。そんなことをしてみたのも、そんな頃だった。

 その心理を掘り下げれば、何のことはない。壊れている哀れな自分を見せつけては、宗助を必死に繋ぎ止めようとしていたに過ぎなかった。

 私はそうすることによって、それ以上もなく宗助に甘えようとした。私に抱く負い目を利用して、宗助に私を見ていてもらう為……。

 私は宗助の隣りに居る資格を失っていることを暗に自覚しながら、それでもそこを離れては生きられないのだと思い知っていた。

 だけど、どれ程に私が言葉を連ねたとしても何をしようとも、それでは宗助の心が晴れることはない、から――。

 私が隣りに居ても――幾ら涼しげな微笑を浮べていても――宗助の心は、一度だって本心では笑ってはいなかった。

 私は十分すぎるくらい、それに気がついてしまう。

 届かぬと知った想いを秘めたまま、何処も向いてはいないような――その横顔。それを見ているのが、ふと私は辛くなって――いくのだ。


 そんなクシャクシャな想いが――あの日の放課後。


「西に……貴方の気持ちを、伝えて」


 私にそう、言わせていた。
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