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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
 私から離れられることができないから、せめて――。宗助が歩み出したのなら、私もそれを諦めるしかないのだ――と。結果としては、それは私自身の中に生じた――望み。

 望まなくても――私は、それを望まななければ、ならなかった。


 私の過去とその時気持ちを、何時まで語ってみようとも、何ら結論を得ることはないのだ。

 それを語り改めて私は、そんな風に思って…………る。


    ※    ※


「……」


「……」


 静寂の病室では――。

 私は喜嶋くんを前にして、一応の話を終えている。上手く話すことなんか、最初から無理なことは承知。私ですら咀嚼しきれない想いの数々を、整然と語れる筈もなかった。

 それでも、私は彼にそれを話して。彼は真剣に、それを耳にしてくれていた。

 ここまでの想いを明かすのは、初めてのことだから、とても気恥しくもある。だから、黙ったまま私を見つめてる彼に、私は取り繕うように言った。

「それでも――今、貴方に話したのが、ホントの私の姿……。滅茶苦茶だと、きっと……そう思ったでしょう?」

「ううん……全然。そんなこと、ないよ」

 喜嶋くんは、そっと首を横に振る。

「無理しなくても、いいの。私は理解してほしくて、過去の私を語った訳では、ないのだから……。私は只……貴方が想いを寄せるような相手では、なくって。もう二度と、間違わないで欲しいから……私は自分がどんな人間なのか、それを……知ってもらおうと思った。せめて、それが私の――」

 ――償いの形。私はそう言葉を結んで、そのまま病室を後にしようとしていた。それでは全然足りないかもしれない。だけど、他にできることも見当たらない。

 喜嶋くんは――そんな私に、言うのだ。


「話が聞けたこと。僕、とても――嬉しかったよ」

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