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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「……」
じっと思い詰めるようにして、病院を後にする――私。
何処か呆然として、足取りもおぼつかずに……。それは向かうべき先に、私を向かわせるにしては、あまりに心許ないから……。
つい私は……これから、どうしたら、なんて。そんな弱気に、負けそうになってる。
そんな、時だった。
病院を出た私に、駆け寄っていた――二つの人影。私の前に現れた姿を見て、私は驚く。
照れ臭そうにして、私の前に立っているのが――山村佳奈と市原茜だった、から。
「佳奈……茜……一体、どうしたの?」
その姿を意外に感じてそう訊くと、少し口を尖らせて佳奈が言った。
「これでも、私だってさ。礼華の……友達のつもりだよ。事情はよく知らないけど、辛い時に側に居るくらい――させてよ」
「佳奈……」
友達であるのなら、それも当然……? そんなことさえ意外に感じてしまう私に対する、それが佳奈の言葉と振る舞いだった。
しかし、すぐに神妙な顔になり――
「それと、何か――ごめん」
佳奈は私に、謝る。
「え……?」
「最近、微妙だったこと……だけじゃないんだ。今日、教室で泣き出した礼華を見て……私、思ったの。それは私の知ってた礼華の姿と、まるで違ってたから。けど、それって私がさ……礼華のこと、上辺しか見てなかったから……なんだよね? だから、何か上手く伝えられないけど……とにかく、ごめんね」
その佳奈の話を聞いても、それでも私は……。
「ち……違う、の」
それは私が、隠してきたから……。必死に見せないように、していたから……。そんな自分が、とても申し訳なく思えてきて……。
でも――
「礼華は優しい子。私は、ちゃんと知ってったよ」
そんな素直でない私を、今度は茜の笑顔が支えてくれて、る。