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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「なによ、茜。自分だけ、わかった風なこと、言わないでくれない。それじゃ、私が何かバカみたいじゃん!」
「ウフフ――佳奈だって、もちろんいい娘だよ。だけどちょっとだけ、子供じみてる処もあるよねー。それが、また可愛いいんだけど」
「た、確かに、そうかもしれないけど。なんか、茜に言われると、余計にムカつく……」
「アハハ! なんだ。自覚あったんだ」
「もう! また、バカにしてる!」
私を前にして、じゃれ合うような――二人。
「……」
その様子を見ていると、私は思わず――彼女たちの身体を、両手で抱き寄せていた。
「れ……礼華?」
暫く――唖然とする二人を抱きしめ。そうして感じたのは、久しく覚えのなかった、温もりだった。
それは――否定し続けていた日々の中で、いつの間にか手にしていたもの、だったのだろう――か。私は恐々としながら、なのにギュッと強く佳奈と茜を離すまいとしていた。
それを噛み締める私の耳元で――佳奈が、そっと囁く。
「あのね……礼華。瀬山が、教えてくれたんだよ。礼華がここに、居るからって……」
「――!」
宗助…………。
私は二人に支えられて、自分のすべきことを心に宿すのだった。