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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
※ ※
すっかり陽も落ちて――夜。
私はその姿を、探して歩いた。携帯に頼ることも忘れ、自分の足で探していた。何となく、そうしたかった……。
「――!」
そして――駅前に通じる歩道橋の上から、私はこの目でその姿を、見つけている。
外灯の元に照らされ――ポツンとベンチに佇む、宗助。何処かにその想いを馳せるように、宗助は――やはり、一人だった。
歩道橋の中程に足を止め、私は静かに眺めている。今の彼の隣は既に、私の在り処ではなかったから。それまでと違う空気に、それを察して私は――遠くから、宗助の姿を望んでいるのだと、思う。
それはそこはかとなく、淋しくも……あった。けれども、何処か気持ちは穏やかで……。
「……」
此処に至る前、私は二度「ありがとう」を口にしてる。一度目は、喜嶋くんに。もう一度は、佳奈と茜に。ありふれて、お座なりに思えてた、その言葉を伝えていた。
それをこの私が、本心から口にするのは、何時以来であったろう……。と、そんなことを、ふと思慮してみた。
「好きに、なって……よかった……の?」
ポツンと、呟いたのは――喜嶋くんがくれた、言葉。私はじっとして、それを噛み砕こうと、してる。
私の過去を聞いても、喜嶋くんは私へ対する気持ちを否定しなかった。それ処か「よかった」と、そう言ってくれた……。
自分を卑下し――捩れ捻くれ、閉ざして隠して、いた。向き合うことすら嫌になっていた、私の心(ナカミ)。きっと裸を晒すより恥ずべきももとした、無意識に積み重なっていた――モノ。
そのクシャクシャな皺を、綺麗に伸ばして、私に示してくれたのが――喜嶋くん、だった。
そうなった時、私は改めて――自分の根幹にあった、その気持ちを思い知る。やはり、とは思ってはみても、鮮烈なる想いは……溢れて、止もうとはしてくれない。
私にとっては、何物にも代えがたい、大事なものだと――初めて、そう認めた。
それでも負けそうな私を、佳奈と茜の支えて――私はついに、宗助の場所に辿り着いて……る。
でも私は、宗助との新たな距離を量るようにして、その場から歩み寄ろうとは、していない。
「――!?」
そんな私に気がつく筈もなく、宗助はそっとベンチから立ち上がった。