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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
部屋に戻るでも、何処に向かうでもないであろう足取りで、宗助は歩き出して行く――。
「……」
その背中を見つめ追わずに、想いを伝える為。欄干を掴み両脚を踏みしめ、私は終ぞ憶えのない声を張り上げていた――。
「宗助ぇ――!」
「――!」
その声に振り向き――宗助は、歩道橋の上に居る私を――見つける。
「…………」
「…………」
交わされた視線が、決して語られなかった言葉より雄弁であるかのよう……。遠くから互いを見つめて、私と宗助は確実に只ならぬものを感じた。
私の在り処となり、何時も隣に居てくれたのは……彼。
宗助への感謝は、初めから今でも……ずっと。だけど今の私には、たった一言を伝えるのがやっとだった、から……。
そして、それは――やはり「ありがとう」では足りなかった。
頬を撫ぜつけてる夜風を吸い込んで――私は身体の芯から、猛り――叫ぶ。
「私、ねっ――宗助がぁ――――好きだったのぉ!」