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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
ギュッと強く目を閉じて、乾くんが懸命にそう説いている――その姿を見た、時。
「――!?」
私の心臓はまるで、紐で結ばれた贈り物のハムみたい。グルグルとして締め付けられると、制限された律動が、より大きな高鳴りを予感させてる。
それはとても、可笑しなイメージなのだと思い。でも、覚えのないその感覚が、不愉快でないことだけは、わかってほしくって――不思議と気持ちは焦る、のだ。
そう――私は、こんな私なりに、何かを伝えたいと感じて――る。
私は無意識に無意識を装ってしまうから、それはとても意地悪なことなのだと、自覚。さっきはしおらしく頭を下げながら、すぐさま乾くんに答えを求めてしまって……いて。
彼にしてみれば、それを認めることは、想いを伝えるのと同義――なのに。
だから私の心も、只ならぬ場所に飛んで行きそうになりながら。けれど、それを強いた自分には、それを嫌悪せずにはいられない。
勢い、言ってしまいたい言葉があった。でも、お座なり過ぎて、それに頼ることにはある種の抵抗感が生じている。それはやはり、今の私に程好く当てはまるものではない、から……?
私は無知である故に、あまりに言葉を知らず。この瞬間にピッタリと合う、その言葉が見つけられない。
だけど、人はそれぞれ違っているから、言葉だってそんなには都合の良いものではないのだろう。
「……」
これでは、何時もと同じ。私はまた、口を噤んでしまっている。
やはり、難解……。私の閉ざされた内面は、何も自ら望んでそうしたことでは、ないから。見せようとしても、見てほしくても――その開け方を、私は知らなかったのだ。