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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
しっかり……。と、そう自分に言い聞かせて、私は先生に向き合い席に着いた。
そう、ともかく今は――楓姉さんのこと。私はそこへ、向き合わなければならない。もう、逃げずに――俯かず、逸らさずに。
「……」
「……」
それでも、言葉は重く。私も、そこに対峙した北村先生も、まず口を閉ざして…。その視線だけを、静かに交差させてる。
でも、確かに核心は、すぐ側に――あるという、その確信は、揺らがない。だからこそ、私だけでなく先生も口を開けずに、いるのだから……。
そんな意図を以って、向けた物欲しそうな瞳に対して、北村先生はふっと一つ息をつく。それは、ため息ではなくって……。
もしかしたら――先生も緊張、してる? と、私はまた、じっとその顔を仰いだ。
すると――
「――で? 俺に、話とは」
机の上で手を組むと、先生は若干身体を前のめりにして、私に問う。
「そ、れは……」
順番としては、誤りではなく。話があると言ったのは、私の方だから……。
けれど、私には甘えがあったことは否めず。先生から、その名を口にしてくれると――此処に至るまでの雰囲気から、密かに期待してしまっていた。
そんな、私だから――
「か……」
やはり、言葉が、喉に、詰まる。
楓姉さんの、その名は――今この瞬間にも、私を苛み続けて止まなかった……。