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クラス ×イト
第3章 あこガれ 【山村佳奈】
 護を連れ、自宅のドアを開く。そのまま中に入り、部屋の電気を点けた時。

「あれ――佳奈の親、留守なのか?」

 護にそう問われ、私はドキッとした。

「そう……出かけてる、みたい」

 その答えは、正確じゃない。東京に出かけてる両親が、この夜に戻る予定はなかった。護が家に来ることを私が躊躇していた、それが理由。

「じゃあ、部屋に行ってて」

「ああ」

 護が家に来るのは、三回目。けど、家に二人きりなのは、これが初めてだった。

 キッチンで飲み物とお菓子を用意しながら、私の手は何故か震えている。

「なに、意識してんの。バカみたい……」

 私はそんな自分を、あざ笑った。

「別に……いつも通りにしてれば、それで」

 自分に言い聞かせるように、そう呟いてから。護の待つ、自分の部屋へ向かう。

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