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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
「その前に、まず詫びておくべきだろう。藍山――すまなかったな」
「――?」
「受け持ったクラスの中に、お前が――藍山楓の妹が居ると知りながら、俺は今までその部分に触れることを避けてきた。先日、お前から姉のことを聞かれ、それでもまだ俺は空々しく惚けるような真似をしている。だが一つ、言い訳をさせてもらえるのなら……俺にも真実は、解らないんだ。もう、解ってやることが、できない」
解らない……? その言葉に一抹の不安を抱きながら、私は意を決して踏み込む。
「先生と姉さんは、どんな関係だったの……ですか?」
言葉を選ぶ余裕もなく、それは不躾な質問。
しかし、先生はそれに怯む様子もなく、あっさりとこう答えた。
「俺と藍山楓は――教師と生徒だ」
「!」
期せずして、強張る顔。そんな私を見て――
「不服そうだな」
と、先生は言う。
「そんな、つもりは……でも……」
私にとっては、先生の言葉だけが頼り……だから。そう言われてしまえば、話は前に進まないのではと、焦れて……。
そうは思っても、それは別に――二人が特別な関係であることを、歓迎する理由になどなる筈もなかった。
「……」
自分勝手に縺れては、また言葉を失いそうな――私。
その私を気遣うように、先生は言った。
「そう、心配しなくていい。此処に至って――別に何かを隠そうなどと、そんなつもりはないから、な」