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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
「お姉ちゃん……」
「なあに、栞?」
「お姉ちゃんも、もう高校生なんだよね」
「そうよ」
「じゃあさ、やっぱり……恋愛とか――するの?」
「え……?」
期せずして向けられた意外な問いに、私はやや面食らう。
「栞――高校生だからって、誰でも恋愛する訳ではないのよ」
その妹の好奇心に対して、大人ぶって振る舞い、その様に答えてみたけど……。それはやはり、誤魔化しに過ぎなかったのだろう。
人見知りな私には、同性の友達も数える程しかなく。世間では年頃とされる年齢に差し掛かっている自覚はあれど、恋愛など自分の身近にあるものとは思えなかった。
遠く、向こうの出来事のよう。そう妹と話した、この時は――未だ。
「だけど、お姉ちゃんは綺麗だから――きっと、素敵な恋人ができるよ」
真っ直ぐな瞳で見据えて、栞は何を疑うでもなく、そう言ってくれる。
「そう……かな?」
栞の方が、ずっと可愛いよ――と。
大きく揺ぎ無い、その瞳を羨ましく感じながら。口にしようとしたその言葉を、私は呑み込んでしまってる。
密かな憧れこそ、あっても……。私は地味な自分に、自身が持てずにいて……。
そんな、私も……。違う。そんな私、だから……きっと、そうだった?
「……」
それから、間も無く訪れる出会いを、予感(期待)し――それ故に、深く一途にのめり込もうとしてゆく。