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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
私は本を読むのが、すっかり好き、だった。しかし、元々そうだ、とは言い切れず。そうなる切っ掛けとして、それは些か消極的なものだから……。
小学生の高学年の頃だった。私は同じクラスの子から、仲間外れにされていた時期がある。皆が一斉に、まるで存在を忘れたかのように、私を無視――しかとを決め込んでいた。
私自身、何ら悪いことをした覚えもなく。だからと言って、その理不尽に抗うほど強くもないから。只、ひっそりと教室に佇むのは、とても辛いことなのだと――そんなことを、実感していただけ、だったろう。
共に笑うことも許されずに、話す相手すらいない。そんな最中、一人で過ごす一日という時間は、気が遠くなるほどに長かった。
私が本を読み始めたのは、そんな時――なの、である。
以来、すっかりその魅力に目覚める、と。中学生となり、いじめから解放された後にも、私はずっと本を読み続けていた。
そうして、私も――高校生の私となり。主にそんな本との邂逅により、私の人格が形成されているのだと考えれば――少し、複雑。
だから――私は本は好きで、それを読みながら、も。時折どうしようもなく、やるせない気分に苛まれたり、している。
そんな自分を、私は――好きになってやることが、できずにいて。
しかし、そうだった、からこそ――私は彼を、強く意識することになるのだ。