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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
高校一年生だった、四月の末――。
「藍山さんってさ、あんま喋んないよね」
「ホント、大人しすぎでしょ」
「そんなこと……別に……」
と、私は俯き加減に、そう口籠っている。
放課後。階段の踊り場。図書室で本を借りて、帰ろうとしていた私を、彼らは不意に呼び止めていた。
そこですれ違ったのは、同じクラスの二人の男子。やや派手なタイプで、正直言って私は苦手で。それはまだ、私がクラスに馴染めていないせいでもあるのだろう、けども……。
「――!」
戸惑った私は自然と二人に追い込まれるようにして、背中が壁につく――と、そんな私の逃げ場を奪うかのように、二人は私の両側にそれぞれの腕をついた。
そうして、ニヤっと笑いながら、私を見下ろして、一人が言う。
「ねえ、せっかく同じクラスなんだし、もっと仲良くしようぜ。そうだ――これから、何処か遊びに行こう!」
「わ、私は……」
別に、悪気がある訳でも、ないのだろう。そう思いつつも、借りたばかりの本をキュッと胸に抱え。こんな場面で、どう答えていいのか、と困窮し声が上擦る。
すると、そんな私の態度に焦れて――
「え、なに? 聴こえないんだけど」
「あ――!」
一方の男子がそう言った拍子に、私の手から本を取り上げ。そして、それをを階段の手すりの上に無造作に置きながら、再び私に問う。
「行くのか、行かないのか――ハッキリしてくれる?」
肩を竦めながら、私はやむを得ず――。
「い、行かない……」
それを受けて、若干ピリッとしたものを空気の中に伝えながら、彼らは私をじっと睨む。
「あ、そう。俺たちがこうして誘ってるのに、断るんだ――?」
「ごめんなさい……」
ギュッと目を閉じて、そう言った時だった。
「おっと――手が勝手に」
明らかに空々しく、そう言った彼の――手にしていた本が、手すりの上を滑る。
「藍山さんってさ、あんま喋んないよね」
「ホント、大人しすぎでしょ」
「そんなこと……別に……」
と、私は俯き加減に、そう口籠っている。
放課後。階段の踊り場。図書室で本を借りて、帰ろうとしていた私を、彼らは不意に呼び止めていた。
そこですれ違ったのは、同じクラスの二人の男子。やや派手なタイプで、正直言って私は苦手で。それはまだ、私がクラスに馴染めていないせいでもあるのだろう、けども……。
「――!」
戸惑った私は自然と二人に追い込まれるようにして、背中が壁につく――と、そんな私の逃げ場を奪うかのように、二人は私の両側にそれぞれの腕をついた。
そうして、ニヤっと笑いながら、私を見下ろして、一人が言う。
「ねえ、せっかく同じクラスなんだし、もっと仲良くしようぜ。そうだ――これから、何処か遊びに行こう!」
「わ、私は……」
別に、悪気がある訳でも、ないのだろう。そう思いつつも、借りたばかりの本をキュッと胸に抱え。こんな場面で、どう答えていいのか、と困窮し声が上擦る。
すると、そんな私の態度に焦れて――
「え、なに? 聴こえないんだけど」
「あ――!」
一方の男子がそう言った拍子に、私の手から本を取り上げ。そして、それをを階段の手すりの上に無造作に置きながら、再び私に問う。
「行くのか、行かないのか――ハッキリしてくれる?」
肩を竦めながら、私はやむを得ず――。
「い、行かない……」
それを受けて、若干ピリッとしたものを空気の中に伝えながら、彼らは私をじっと睨む。
「あ、そう。俺たちがこうして誘ってるのに、断るんだ――?」
「ごめんなさい……」
ギュッと目を閉じて、そう言った時だった。
「おっと――手が勝手に」
明らかに空々しく、そう言った彼の――手にしていた本が、手すりの上を滑る。