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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
「それはそうと――藍山」
「は、はい?」
「俺――何か、邪魔したか?」
「え……?」
始めは何のことか、解らず。少し間を置き、恐らくさっきの二人のことを言ってるのだと、私は気がつく。
「あ、いえ……寧ろ逆に、助かった感じです……が?」
「ふむ。そうか」
北村先生は、無表情を保ったまま、短く頷いた。
その存在は、既に脅威ではない。だけど、その言葉は酷く端的過ぎて、今度はそれが私を戸惑わせている。
「ほら、コレ」
「あ……すみません」
差し出された本を受け取りながら、私は先生の顔を仰ぐ。すると――
「藍山は、本が好きなのか?」
そう問われ、私は――
「はい……好きです」
じっと目を合わせて、そう答えていた。
その刹那――鼓動がトクンと高鳴ったのを――私は、感じて。
「――!」
それは恐らく私の意識が勝手に、この時のシチュエーションと自分の発した一言を結び付けたに過ぎなかったのだろう。
それなのに私は、期せずして取り乱してしまった。
「ち、違いますから!」