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クラス ×イト
第3章 あこガれ 【山村佳奈】
 それを聞いた私は、自分の疑問をそのまま言葉にしていた。

「あの二人って――してると思う?」

「当然。ヤリまくりだろ」

 護があんまりあっさりと断言するから、私はそれに反論する。

「どんな根拠があって、そう言ってるわけ? だってさ――本人たちは、付き合ってるとも言ってないんだよ。もしかして、瀬山の方から聞いてるとか?」

「いや――瀬山とは、そんな話しねーけどさ」

「じゃあ……?」

「そんなの、礼華を見ればわかるって。逆に訊くけど――お前、礼華が処女だと思うのか?」

「そ、それは……ない、と思う」

「だよな。アイツの態度とか雰囲気って、並大抵の経験じゃ出ねーよ」

「やっぱ、そうだよね……」

 きっと礼華は、色々なものを乗り越えている。それを感じているから、私はその姿にこんなにも憧れているはず……。

「で――佳奈は、どうする?」

 護はベッドから起き上がると、また私を後ろから抱き寄せた。

「どうする、って……」

 経験してないことに、妙な焦りは確かにある……けど。

 何となく揺れた気持ちのまま、私は護に訊く。

「護はホントに、私としたいの? させてくれるなら、誰でもいいと思ってるんじゃ――」

 例えば、茜――とか。

「バーカ。そんなこと、思ってねーよ」

「じゃあ、私のこと好き?」

「ああ、好きだ。お前は――?」

「私も……好き、だよ……」

「だったら、いいよな」

 そう言った途端に――護は私を強く抱きしめ、また唇を重ねた。

 さっきよりも激しく、舌を絡めてキスをしながら――私は何となく、気がついていたんだと思う。

 今日、礼華の口から聞いた「好き」という言葉。

 それに比べれば今の私たちの「好き」は、とても軽いんだってことを……。
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