この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》

 夏休みに入ると、家にほど近い図書館へと足しげく通うのが、ほとんど私の日課と化していた。そこはこじんまりとした私立図書館の支所であったが、そのため来館者も比較的少ない。落ち着いて過ごせるので、私の性分にも叶うお気に入りの場所だった。

 私は概ね、開館と共にそこを訪れて行く。午前中の間は、学習室でその日の分の夏休みの課題等を済ませ。その後で、居並ぶ本棚の間を漂っては、じっくりと蔵書を吟味するのだった。

 そうしてはいても、毎日ひたすら本を読もうという訳でもない。本を読むことも然ることながら、私は本の匂いのするその空間自体が、好き。

 本棚に並ぶ背表紙を順に指でなぞりながら、タイトルから内容を想像してみたり。それだけでも世界が広がっていくような、そんな気がしていたのだ。

 時折こんな自分は、ちょっと変なのかもと思ったりもしている。少なくともクラスの中では、既に幾分浮いているのは自覚していた。 

 そう言えば妹の栞が、出がけにこんな風に言ってる。


「まぁた、図書館に行くんだね。ねえ、知ってる? お姉ちゃんみたいな人のこと、活字中毒って言うんだってさ」


 やや拗ねたような妹の顔を思い浮べ、私は思わずクスっと笑む。


「少しは栞とも、遊んであげなくちゃ、ね」


 私はそう呟くと、後ろ髪を引かれながらも、この心地よい空間を後にしようとしていた。

 そうして、置いてある荷物を取りに学習室へと、戻った時である。


 えっ……北村先生……?


 その一番後ろの席に、私はその姿を見つけた。
/579ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ