この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》

 だけどそれは、やはり秘めていたかった部分であるのかもしれない。

「ハハ、可笑しいだろ?」

 そう言って、少し照れて笑う先生の顔が、それを私にそう示していた。だから拍子とはいえ、パソコンを覗き込むような真似をしていることを、申し訳なくも思う。

「いえ、そんなこと……」

 それ処か、私は……。その時に抱いた気持ちを言いあぐねてる私に変わり、先生は何時になく饒舌に語った。

「大学で文芸サークルに所属していた、その名残りなのだろうな。だが当時は、作家を目指そうなんて、そんなつもりは全くなかった。結局はチャレンジすることもなく、時が来ると何となくの成り行きで、教師になっていた。仮にも教え子を前にして、言うべきことではないんだが……。自分の将来なんて、本気で考えてなかったからな。それで今になって、こんなことをしてる。そんな、訳さ」

「……」

 私は黙って、話を聞く。『当時は』と言ったのは、今は違うから?

「悪かったな、藍山。こんな話を聞けば、がっかりしたんじゃないか?」

「え?」

「一見、何の淀みもなく、教壇に立っている教師。その大人の男が、実は人生に迷いこんな風に足掻いてると知ればな」

 やはり、そう。先生は今、本気で小説を書いている。そう感じて、私は――

「いいえ、がっかりなんてしません。寧ろ、その逆で――」

「逆……?」

「それは……その」


 先生にじっと見つめられて、私は――自分の中で急激に高まるものを、全て吐き出してしまいたい。

 そんな衝動に、駆られていた。
/579ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ