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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
でも身体を突き破りそうな数々の想いは、一つに集約しようとはしてくれずに。
だから私は――それでもそっと、辛うじて噛み砕けたその気持ちだけを、差し出す。
「私――嬉しい」
「ん?」
「あ、あの……それは、つまり……」
その意味を求めたその顔を見つめ、吐露してたのは――私の欲求。
「先生の書いた小説、私――読みたいな、と」
先生と小説。その重なりを私は素敵なのだと、心の底から感じているから。私に生じたその望みだけは、隠すことができなかった。
だけど――
「それは流石に、勘弁してくれ。所詮は素人の書いたものだ。まして目の肥えた藍山に、読ませる訳にはいかないよ」
別に私がどう思っていようが、それは恐らくは関係ないこと。先生が人知れず書いている小説を、私が読ませてもらえる理由なんてなかった。
私は数ある生徒の中の、たった一人。先生にとって、何一つとして特別な存在にはなり得てはいない。
そして、それは永遠に変わることは、ないのだろう。
「そう……ですよね」
私は俯いて、ポツリと言った。そうして、それまでの態度も口にした言葉も、今の私の全てを嫌悪してる。
こんなことなら、声をかけたり……しなければ、よかった。
そう悔いた時に、思わず涙が零れだしそうになり、私はハッとする。
「す、すいません。私、失礼します」
急に泣き出して、先生に変だと思われるのを恐れ。私はその場から、逃げ出すように背を向けた。
その時――
「藍山――」
「――!?」
私の手首をギュッと、先生は暖かな手で掴み取っている。
だから私は――それでもそっと、辛うじて噛み砕けたその気持ちだけを、差し出す。
「私――嬉しい」
「ん?」
「あ、あの……それは、つまり……」
その意味を求めたその顔を見つめ、吐露してたのは――私の欲求。
「先生の書いた小説、私――読みたいな、と」
先生と小説。その重なりを私は素敵なのだと、心の底から感じているから。私に生じたその望みだけは、隠すことができなかった。
だけど――
「それは流石に、勘弁してくれ。所詮は素人の書いたものだ。まして目の肥えた藍山に、読ませる訳にはいかないよ」
別に私がどう思っていようが、それは恐らくは関係ないこと。先生が人知れず書いている小説を、私が読ませてもらえる理由なんてなかった。
私は数ある生徒の中の、たった一人。先生にとって、何一つとして特別な存在にはなり得てはいない。
そして、それは永遠に変わることは、ないのだろう。
「そう……ですよね」
私は俯いて、ポツリと言った。そうして、それまでの態度も口にした言葉も、今の私の全てを嫌悪してる。
こんなことなら、声をかけたり……しなければ、よかった。
そう悔いた時に、思わず涙が零れだしそうになり、私はハッとする。
「す、すいません。私、失礼します」
急に泣き出して、先生に変だと思われるのを恐れ。私はその場から、逃げ出すように背を向けた。
その時――
「藍山――」
「――!?」
私の手首をギュッと、先生は暖かな手で掴み取っている。