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クラス ×イト
第2章 だメンず 【乾英太1】
ひっそりとアニメの話題に興じている、クラスの中でも目立たない三人組。
僕らは自分たちのことを、『D3』(ダメンズ・スリー)なんて呼称していた。それはふざけ半分。自分たちを卑下して、自虐的な意味で楽しんでるくらいのこと。
だけどたぶん、要二だって三生だって気がついている筈だ。そしてそれは、僕だって同じ……。
満たされない想いを、僕らはいつだって心に秘めていた。
「ちょっと、邪魔なんだけど」
不意そう口にしたのは、佐川くんという男子。
それを耳にした、僕は――
「あ、ごめん」
次いで、三生も――
「ど、どうぞ……」
慌ててイスを引くと、通路を広く空ける。
「どーも」
佐川くんは当て擦るように言ってから、颯爽と僕ら三人の間を通り過ぎて行った。
その背中を見送りながら、舌打ちをしたのは要二。
「チッ、なんだよ。わざわざ、狭い処を通りやがって」
そんな悪態をつくと、同意を求めるように、僕に視線を差し向けている。
だけど僕も三生も、文句を口にする気はなかった。
「いいよ。別に」
「そ、そうだよ、要二くん。大したことじゃないし……」
そんな僕らの態度に、要二は呆れ顔だ。
「お前ら、ホント情けないのな」
「ハハ……だって僕ら、所詮はD3だしね」
僕は誤魔化すように、愛想笑いを浮かべている。
僕らは自分たちのことを、『D3』(ダメンズ・スリー)なんて呼称していた。それはふざけ半分。自分たちを卑下して、自虐的な意味で楽しんでるくらいのこと。
だけどたぶん、要二だって三生だって気がついている筈だ。そしてそれは、僕だって同じ……。
満たされない想いを、僕らはいつだって心に秘めていた。
「ちょっと、邪魔なんだけど」
不意そう口にしたのは、佐川くんという男子。
それを耳にした、僕は――
「あ、ごめん」
次いで、三生も――
「ど、どうぞ……」
慌ててイスを引くと、通路を広く空ける。
「どーも」
佐川くんは当て擦るように言ってから、颯爽と僕ら三人の間を通り過ぎて行った。
その背中を見送りながら、舌打ちをしたのは要二。
「チッ、なんだよ。わざわざ、狭い処を通りやがって」
そんな悪態をつくと、同意を求めるように、僕に視線を差し向けている。
だけど僕も三生も、文句を口にする気はなかった。
「いいよ。別に」
「そ、そうだよ、要二くん。大したことじゃないし……」
そんな僕らの態度に、要二は呆れ顔だ。
「お前ら、ホント情けないのな」
「ハハ……だって僕ら、所詮はD3だしね」
僕は誤魔化すように、愛想笑いを浮かべている。