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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
自虐的だったりする処が、少し私と似ていると感じて――? それとも、大人のしての体裁を気にしてる先生が、逆に幼くて近しく思えたから――?
ともかく私は何故か嬉しくなり、自然と笑っていたのだった。そして、先生と私のこの空間が、とても心地よいのだと実感してる。
だけど――その柔らかな空気も、先生がふと呟いた言葉で一気に変化していた。
「藍山のそんな顔――初めて見た気がするな」
「え……?」
先生の眼差しは、無防備な心を見透かしているようで、私は焦る。
否、それが不快という筈もなく、寧ろその反対。全てを見透かしてくれるのなら、その方がいっそ……と、私は思う。
そう――先生がいみじくも言ったよう通りなのだ。私は未だ何もかも、一つだって見せてはいない。本当の自分も、本当の気持ちも……。
だからこそ、私は焦る。もっと、自分のことを知って欲しくて。もっと、自分を見て欲しくて――それが願いだったと、気づいたから。
「あの――先生」
「ん?」
「小説――どう、なりました――か?」
密かなる願いを自ら、ようやく認めて。それならば私だって、私の為に。もう遠慮ばかりしている訳にもいかないと、強く思っているのだった。