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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
 そして――

「休みの日に、わざわざ悪かった。教師としたことが、自分の都合で生徒を連れ出すなんて……どうか、している」

 何時もの教師の顔を取り戻し始める先生に、私は焦ってる、けれど。それを引き戻す口実を失い、私は黙ったまま髪を揺らして否定を表すのが、精一杯なのだ。

「さて……こんな処を、誰が見ないとも限らない。そろそろ、俺は退散するとしよう」

「……!」

 恐らく、いらぬ誤解を避けようとして、それが先生の言葉の意図だ。そこに私を傷つけるつもりなど、微塵もなく。知ってはいても、やはりやるせない……。

 だから――其処に立ちはだかる見えない壁を、私は微力ながら突き破ろうとしていたの、だと思う。


「私――先生の本が、好き」


「――!」


 立ち去ろうとする先生の背中に、私はまずその言葉を高鳴りのままに……。


 あ……。


 そして、振り返るその顔を見つめられ、怯み。


 だから続く言葉は、勢いではなく、私の中より絞り出された――もの。


「私…………好きなん、です」


 それを果た時に――ほろりと涙が、私の頬を伝っていた。
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