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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》


    ※    ※


「……」


 私の中に流れ込んだ想いの塊は、そこまでを語ると、そっと私の中より去っていった。

 目を瞑り俯いて、じっと北村先生の言葉に耳を傾けていた。そんな自身を、ようやく自覚してる。


 私は楓の妹――藍山栞。確かに、そう。


 そんなことを確認するほどまで、私は楓姉さんの想いの中に同化していた。

 けれど、これは――私の妄想であり、錯覚の類であろう。普通に考えるのなら、そうだった。

 失われた姉さんの想いを探ることなど、妹の私であっても叶う筈もなく。先生が如何に正直であったとしても、その言葉から全てを補完できる訳もなかった。

 でも、だとしたら何故だろう。

 今、私の頬は止めどなく溢れる――涙に、濡れた。

 誰に信じてもらおうなんて、願う必要などないのかもしれない。


 私は確かに、藍山楓のその想いに――触れたのだった。


 けれど、それを疑わない私であるのだから――やはり、辛い。

 楓姉さんが抱いた微かな希望。

 それがどの様に砕かれたのか――私には大よそ、それがわかってしまっているの、だから……。
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