この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
※ ※
「……」
私の中に流れ込んだ想いの塊は、そこまでを語ると、そっと私の中より去っていった。
目を瞑り俯いて、じっと北村先生の言葉に耳を傾けていた。そんな自身を、ようやく自覚してる。
私は楓の妹――藍山栞。確かに、そう。
そんなことを確認するほどまで、私は楓姉さんの想いの中に同化していた。
けれど、これは――私の妄想であり、錯覚の類であろう。普通に考えるのなら、そうだった。
失われた姉さんの想いを探ることなど、妹の私であっても叶う筈もなく。先生が如何に正直であったとしても、その言葉から全てを補完できる訳もなかった。
でも、だとしたら何故だろう。
今、私の頬は止めどなく溢れる――涙に、濡れた。
誰に信じてもらおうなんて、願う必要などないのかもしれない。
私は確かに、藍山楓のその想いに――触れたのだった。
けれど、それを疑わない私であるのだから――やはり、辛い。
楓姉さんが抱いた微かな希望。
それがどの様に砕かれたのか――私には大よそ、それがわかってしまっているの、だから……。