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クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》
※ ※
その週の土曜日――。
「……」
私はまるで抜け殻みたいに、朝から自分の部屋の中へと閉じ籠っていた。
別に後ろ向きな気分で、そうしていた訳ではない。けれど――
「あれで……よかったの?」
この日、既に三度目となる自問を、私は無意識に口にする。
楓姉さんの想いは、私の中に溶け込んでいる。私はそう、信じていた。でも、それは私がそれを正しく咀嚼できたから、ではない。この私がそこまで、自惚れる筈もなかった。
でも、確かに『過ち』であるから、それを認めるべきではなくとも。姉さんがそれに殉じようとしたことを、責める気持ちにはなれなかった。
藍山楓のその中で、刻々と膨らみゆく形なき途方もない塊を、私は彼女と共に感じてしまっているのだから……。
北村先生に対しては、私にはやはりあれで精一杯である。
何をどう覆そうと、楓姉さんの優しいその姿は、もう帰りはしない。だから、私はその想いを知ることに動機を求めて、その意味では十分に果たされている。それは、たぶん……ではあるけども。
それでもこの先に、もし答えを導きたいというのなら。それはもう、自分の人生に於いて叶えるしかなかった。
「……」
私は胸に手を当て、そっと呼び起こす。それは、楓姉さんに同化した感覚の中で得ていた、どうしようもないまでの高鳴り……。
けれど、それは――
「私のものじゃ……ない」
――から。
ベッドに横たえていた身体を、私は起こした。