この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
クラス ×イト
第16章 しんクロ 《藍山 楓》

    ※    ※


 その週の土曜日――。


「……」


 私はまるで抜け殻みたいに、朝から自分の部屋の中へと閉じ籠っていた。

 別に後ろ向きな気分で、そうしていた訳ではない。けれど――

「あれで……よかったの?」

 この日、既に三度目となる自問を、私は無意識に口にする。

 楓姉さんの想いは、私の中に溶け込んでいる。私はそう、信じていた。でも、それは私がそれを正しく咀嚼できたから、ではない。この私がそこまで、自惚れる筈もなかった。

 でも、確かに『過ち』であるから、それを認めるべきではなくとも。姉さんがそれに殉じようとしたことを、責める気持ちにはなれなかった。

 藍山楓のその中で、刻々と膨らみゆく形なき途方もない塊を、私は彼女と共に感じてしまっているのだから……。


 北村先生に対しては、私にはやはりあれで精一杯である。

 何をどう覆そうと、楓姉さんの優しいその姿は、もう帰りはしない。だから、私はその想いを知ることに動機を求めて、その意味では十分に果たされている。それは、たぶん……ではあるけども。

 それでもこの先に、もし答えを導きたいというのなら。それはもう、自分の人生に於いて叶えるしかなかった。


「……」


 私は胸に手を当て、そっと呼び起こす。それは、楓姉さんに同化した感覚の中で得ていた、どうしようもないまでの高鳴り……。

 けれど、それは――


「私のものじゃ……ない」


 ――から。

 ベッドに横たえていた身体を、私は起こした。
/579ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ