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クラス ×イト
第17章 エぴローぐ
暫く無言で進むと、裕樹は落ち着かない様子で隣を歩く佳奈の姿をチラリと見た。
「なによ」
視線を感じるとそれを不愉快とするように、佳奈は前を向いたまま言う。
そんな態度が一層に、裕樹を戸惑わせている。
「だって……佳奈が俺を待ってるなんて、珍しいだろ……」
「べ、別に……ちょっと後ろにいるの、見かけただけだし」
「そうか……そうだよな」
「……」
佳奈はまだ、素直になろうとしない……。
二人はまた言葉なく歩くと、先に堪り兼ねた裕樹は、思わず気にしていたことを口にする。
「護と……別れたんだって、な」
「まぁね……」
「……」
あっさりとそれを認める佳奈の、その横顔が心なしか憂うようで……。
それをすぐ近くに感じるから、気持ちを伝えたあの時みたいに裕樹は昂ってゆく。
「なあ、佳奈――」
しかし――
「言わないでっ!」
佳奈は厳しく、裕樹の言葉を制した。
その気持ちは、既に佳奈の中に届けられている。あの時の裕樹の言葉を大事に思うからこそ、佳奈はそれ以上に言葉を重ねて欲しくはなかった。
だから問題なのは、自分がそれにどう応えるのか、それだけ……。