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クラス ×イト
第3章 あこガれ 【山村佳奈】

    ※    ※


 その次の日の教室――。


「……」

 私は自分の席に座り、ボーっと教室の中を見渡していた。皆、いつも通り。それは身飽きた風景だった。

 私は視線を横に向け、チラリと護の方を見て――

「はあ……」

 と、思わずため息をついた。

 だって護の奴、澤田や茜と話して笑ってるんだし……。全くいい気なもんだよね。何か男ってのが、とても無責任な生き物に思えてきた。

 朝起きても、私の股間には遺物感が残っていて。何かちょっと、歩く格好まで変になっちゃう……。

 そっか……私もう、しちゃったんだよね。

 そう実感した時、少し心細くなって。私は後ろを振り向き、礼華に話しかける。

「ねえ、礼華……ちょっと、話したいことあるんだけど」

「なに?」

「教室でするような、話じゃなくて。だから、帰りに――」

「それって、護の話?」

 礼華にそう言われ、私はギクリとした。

「ど……どうして?」

「佳奈のことだから、そんなところかと思ったけど――図星、みたいね」

「う、うん。それでさ、軽く相談に乗ってくれない?」

「ゴメン、佳奈。今日は瀬山と、約束があるから」

「あ……そう、なんだ」

「今度、暇な時に訊いてあげるよ。でもさ、佳奈――」

「なに、礼華?」


「初めての時なんて――誰でも、そんなものなんじゃない」


「――!?」

 微笑を浮かべている、礼華。

 その顔を見ながら――私は少しゾッとしてた。


 まるで礼華に、私の全てを見透かされてるみたいで……。
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