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クラス ×イト
第17章 エぴローぐ
「…………」
「…………」
話をして。話を聞いて。
二人の間に訪れたのは、長い沈黙の時間。
それが続くにつれ、栞の中に募る――不安。
姉の言葉を聴き、気持ちを重ねていたこと。それは、やはり錯覚に帰するような、そんな心細さに苛まれていた。
そんな中で――英太は、その沈黙を破る。
「あの、ね……」
「――!」
「気の利いたことなんて、何も言えそうもないけど……でも」
「でも……?」
「僕……藍山さんを信じる、から」
「え……」
「僕にできるのは、それだけなんだ」
「……」
ポツリポツリと辛うじて連ねた、英太の言葉。
それは、とても拙いけれど。だからこそ――栞は前を見つめることが、できるのだと思えた。
それは、姉の教えてくれた恋心。
今度は自分の身を以て、それを知ろうと、して――。
未だ、微かに。だが、確かに……。