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クラス ×イト
第17章 エぴローぐ

【初めての一日を、過ごし。僕は――】



 それは、夕暮れの帰り道。


「藍山さん……」


「――!」


 突然、足を止めた英太は、栞のその顔を真剣に見つめる。



【彼女に、この気持ちを――伝える】



 そこに、淀みなど見せずに――


「僕はキミのことが――好き」


 英太は自らの想いの丈を、栞に伝えた。

 その眼差しを受けた、栞は――しかし。


「困る……」


 ポツリと言う。

 だが、それは英太の言葉を、拒もうとしたものではない。


「だって……乾くんの小説には……この後、なんて答えるのか、書いてないもの……」


「うん……」


 そう――小説は告白の言葉で、その物語を閉じていた。


「私は……それも、決めて欲しかった」


 小説という支えを失い、栞は急に自分がどうしていいのか、動機を見失った。


 けれど――


「ごめん……だけど、やっぱり……僕が決めることは、できないよ」


「……」


「でも、ね。自分の想いなら――何度だって言えるよ」


「え……?」


 小柄な身体を奮い立たせるように、英太はその想いを届けようとする。


「小説じゃ、とても書き切れない。だって、もっと、ずっと……」


「……!」


「僕は……藍山さんのことが、好きなんだ!」


 その言葉は、確実に――栞の内なる何かを突き動かした。
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