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クラス ×イト
第18章 おシまい
その先に居たのは、瀬山宗助である。
宗助は自分の席を徐に離れると、とある背中に向け、こんな言葉を投げかけていた。
「地区予選――三回戦負けだって?」
「――!」
それをギラリと睨み返したのは、堂林亮伍。
「瀬山――お前、喧嘩でも売ってんのか?」
「そうじゃない。ちょっと、お前の許しを得ようと思ってたんだ」
「許し……だと?」
訝しげな視線を送る亮伍に、宗助はこんな話を続ける。
「俺――またバスケしても、いいか?」
「なにっ……!」
その申し出に、亮伍は驚きを隠さなかった。しかし、すぐに険しい顔に戻ると、宗助に言った。
「それ――覚悟して、言ってるんだろうな。もし、半端な気持ちなら、俺は許さないぜ」
「ああ……そのつもりだよ。堂林――俺を一から、鍛え直してくれ」
そう言った宗助の顔は、何処か揺ぎなく。
そこから何かを感じ取り、亮伍は応えた。
「わかった。だが――そうと決まれば、俺は徹底的にやるからな。秋の目標は、県大会突破だ!」
そうして志を同じくしていた彼らを、遠目に眺める者が――二人。
その一人、ホッと胸を撫で下ろし、柔和な笑顔を浮かべた海藤美和、であり。
そして――もう一人は、教室の後ろの席に佇んでいた。