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クラス ×イト
第18章 おシまい
「……」
新たな歩みを見せた宗助を、感慨深く見つめるのは、赤緒礼華。
それは喜ぶべきことでもあり、それでいて少し寂しくもあるのか。
でも、そればかりに心を奪われているのは、もう違うのだろうとも思いながら……。
そんな時――
「はあ……」
幾分大袈裟と思えるため息が、隣から聴こえていた。
礼華はその主を見て、こんな風に声をかける。
「構ってもらいたいって、そんな気持ちが透けて見えるようね」
「べ、別に……そんなつもり、ねーし」
図星を突かれ、バツが悪そうにそう誤魔化したのは、岸野護。
「そう? でも何か悩んでいるのなら、話してみなさい。一応は、聞いてあげるから」
礼華がそう水を向けると、護は真面目な顔でこんなことを訊ねる。
「なあ、礼華。俺って、もしかしてモテないのか?」
そんな護の前方には、仲もよさげに肩を寄せ合う――山村佳奈と澤田裕樹の姿が。
それを見て意図を悟った礼華は、あっけらかんとして言った。
「やっと、気づいたの」
「はあっ……?」
顔を引きつらせた護、だが。
礼華は遠慮なく、的確な言葉を並べた。
「護は上辺だけなのよ。自分のことも、相手に対しても、ね。だから、すぐに見抜かれてしまう。何かを得ようと思うなら、もっと本気になりなさいよ」
「うわっ、相変わらず、厳しいな……」
忌憚のないその指摘に、護は嘆く。
しかし、そうしてから、護は礼華の横顔を不思議そうに眺めた。
「でも、礼華――少し、変わったか? 前ならこんな気軽に、話せなかった気がする」
「別に、気のせいでしょ」
礼華は事もなげに、そう惚けて。
それから、何とも愉しげに――礼華はそんな微笑みを浮かべた。