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クラス ×イト
第4章 けツらク 【藍山栞1】
経験のある先生なら、この程度の質問でペースを乱すこともないのだろう。しかし今の佐倉先生は、それを軽くかわす余裕も、厳しく叱る威厳も、まだ持ち合わせてはいなかった。
「そ……そんなこと、今は関係ありません!」
だから至極真面目に、そう言う。その結果――
「いいじゃん、教えてよ」
「あ、俺も知りたいな」
「なんだよ、お前ら。瑞穂ちゃんに、気があるんじゃね?」
男子たちが口々にそんなことを言うと、教室は更に騒がしくなっていった。それを鎮められずに只々、困惑してゆく佐倉先生――。
そんな状況の中で、一人の生徒がその名を口にしている。
「北村先生と噂があるけど、それってホントなの?」
北村先生とは、このクラスの担任だ。人と関わらない私は、そんな噂は知らなかったけれど……。
俄かに騒ぎが収まると、一同の視線が先生に集まる。その雰囲気から察するに、少なくと生徒間にそんな噂が囁かれていることは、どうも事実のようだ。
「い、一体……なにを……?」
佐倉先生は、とても狼狽えていた。その反応がまた量らずも、無責任な生徒たちを煽ってしまう。
「オイオイ……マジかよ? 顔、真っ赤じゃん」
「仮にも担任と副担任でしょ……そんなの、アリ?」
「大人同士なんだから、別にいんじゃねーの。だけど、あの北村も惚けた顔して、やる時はやるんだな」
各々勝手なことを口にして、ヒートアップする教室。
「ち、違います。そんな事実はありません!」
必死に否定する先生の言葉には、最早誰も耳を傾けようとしていない。
只一人、彼を覗き。
ダン!
その彼は、自分の机を強く叩き――
「黙れ! このバカ共がっ!」
そう叫ぶと、勢いのままに席を立った。
「そ……そんなこと、今は関係ありません!」
だから至極真面目に、そう言う。その結果――
「いいじゃん、教えてよ」
「あ、俺も知りたいな」
「なんだよ、お前ら。瑞穂ちゃんに、気があるんじゃね?」
男子たちが口々にそんなことを言うと、教室は更に騒がしくなっていった。それを鎮められずに只々、困惑してゆく佐倉先生――。
そんな状況の中で、一人の生徒がその名を口にしている。
「北村先生と噂があるけど、それってホントなの?」
北村先生とは、このクラスの担任だ。人と関わらない私は、そんな噂は知らなかったけれど……。
俄かに騒ぎが収まると、一同の視線が先生に集まる。その雰囲気から察するに、少なくと生徒間にそんな噂が囁かれていることは、どうも事実のようだ。
「い、一体……なにを……?」
佐倉先生は、とても狼狽えていた。その反応がまた量らずも、無責任な生徒たちを煽ってしまう。
「オイオイ……マジかよ? 顔、真っ赤じゃん」
「仮にも担任と副担任でしょ……そんなの、アリ?」
「大人同士なんだから、別にいんじゃねーの。だけど、あの北村も惚けた顔して、やる時はやるんだな」
各々勝手なことを口にして、ヒートアップする教室。
「ち、違います。そんな事実はありません!」
必死に否定する先生の言葉には、最早誰も耳を傾けようとしていない。
只一人、彼を覗き。
ダン!
その彼は、自分の机を強く叩き――
「黙れ! このバカ共がっ!」
そう叫ぶと、勢いのままに席を立った。