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クラス ×イト
第4章 けツらク 【藍山栞1】
教壇のすぐ前の席から後ろ振り剥くと、去河要二は騒ぐ生徒たちを一括した。
私は去河くんのことを、それまで特別に意識に留めたことはなかった。私の印象とすれば、あまり目立つ処もなかったように感じる。敢えて付け加えるとしたら、乾英太と仲良くしてる人、というくらいだ。
それだから今の彼の行動は、少なからず意外。それは私だけでなく、クラスの多くの者たちが同感だったようである。
教室内はシーンと鎮まり、とりあえず騒ぎが収まったかに見えるが――。
「なに、しゃしゃってんだよ。このデブは?」
一人がそう茶化したことで、また生徒たちがドッと笑った。
去河くんの名誉の為に少しだけ、ここで私の主観を付け加えたい。確かに去河はやや太り気味だけど、別に『デブ』と一括りにされるほどではないのだろう。
それでいて割と目鼻立ちも整っているから、見た目的にタイプの人がいても別に不思議でもない。だからといって、私がそうだとは言わないのだけど……。
ともかく先生を庇ったことにより、現在は彼がクラスの嘲笑の的になっていた。去河くんは丸い頬を紅潮させながら、それに必死に耐え立ち尽くしている。
そして――
「今は授業中だぞ。つまんねーこと言って、先生を困らせてんじゃねーよ。わかったか、このガキども!」
まだ騒ぐ人たちに向けて、そんな説教と悪態をついた。でもそれは率直過ぎて、騒ぎを収めるという点では逆効果だったみたい。
「去河――お前って、そんな真面目な奴でもないじゃん」
そう言ったのは、この騒動の発端となる質問をした佐川くんだった。そして佐川くんはニヤニヤと笑いながら、更にこう続ける。
「てことは、お前さぁ。もしかして――佐倉先生のこと、好きなの?」
私は去河くんのことを、それまで特別に意識に留めたことはなかった。私の印象とすれば、あまり目立つ処もなかったように感じる。敢えて付け加えるとしたら、乾英太と仲良くしてる人、というくらいだ。
それだから今の彼の行動は、少なからず意外。それは私だけでなく、クラスの多くの者たちが同感だったようである。
教室内はシーンと鎮まり、とりあえず騒ぎが収まったかに見えるが――。
「なに、しゃしゃってんだよ。このデブは?」
一人がそう茶化したことで、また生徒たちがドッと笑った。
去河くんの名誉の為に少しだけ、ここで私の主観を付け加えたい。確かに去河はやや太り気味だけど、別に『デブ』と一括りにされるほどではないのだろう。
それでいて割と目鼻立ちも整っているから、見た目的にタイプの人がいても別に不思議でもない。だからといって、私がそうだとは言わないのだけど……。
ともかく先生を庇ったことにより、現在は彼がクラスの嘲笑の的になっていた。去河くんは丸い頬を紅潮させながら、それに必死に耐え立ち尽くしている。
そして――
「今は授業中だぞ。つまんねーこと言って、先生を困らせてんじゃねーよ。わかったか、このガキども!」
まだ騒ぐ人たちに向けて、そんな説教と悪態をついた。でもそれは率直過ぎて、騒ぎを収めるという点では逆効果だったみたい。
「去河――お前って、そんな真面目な奴でもないじゃん」
そう言ったのは、この騒動の発端となる質問をした佐川くんだった。そして佐川くんはニヤニヤと笑いながら、更にこう続ける。
「てことは、お前さぁ。もしかして――佐倉先生のこと、好きなの?」