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クラス ×イト
第4章 けツらク 【藍山栞1】
「――!?」
そう訊かれて、去河くんは明らかにその顔色を変えた。それを見た生徒たちは、次々に勝手なことを口にしている。
「その辺、どうなのよー?」
「こらデブ、はっきりしろ!」
「どうせなら、そのままコクっちゃえって」
「そうだ! 男らしく、玉砕しろ!」
その状況を面白がった者たちにより、「言ーえ! 言ーえ!」とそんなコールが巻き起こっていた。
「ちょっと、止めて! 静かにしなさい!」
困り果てた佐倉先生が叫ぶが、既に焼け石に水。悪乗りを集団の前で、最早あまりにも微力なものに過ぎない。
この時、私はじっと去河くんのことを見据えていた。無責任に騒いでる人たちとは違う意味に於いて、私には彼に注目する理由があった。
「……」
去河くんはやや俯き、拳をギュッと握っていた。その肩口を小刻みに、震わせながら……。
そして――それは突然のことだった。
――ガツン!
彼が立てた大きな音が、生徒たちの声を制する。
去河くんは頭――否、顔面を自ら机の天板に、強かと打ち付けていたのだ。
その音と行動により、強引に騒ぎを鎮めると――ゆっくりと顔を上げた去河くんが、睨みを利かせるように周囲を見渡してゆく。
そうしてから、ポツリとこう呟いた。
「悪いかよ……」
それと同時に、その鼻から鮮血が滴る。でもそれを気にすることもなく、去河くんは更に言った。
「俺が先生を好きだったら――なにか、悪いのかよっ!」
鼻血を流しつつ皆を睨みつけたその迫力は、ふざけ半分の生徒たちを圧倒的に凌駕していたのだろう。
「い、いや……別に……」
辛うじて佐川くんがそう応えた他は、誰も去河くんを茶化そうとはしなかった。
そう訊かれて、去河くんは明らかにその顔色を変えた。それを見た生徒たちは、次々に勝手なことを口にしている。
「その辺、どうなのよー?」
「こらデブ、はっきりしろ!」
「どうせなら、そのままコクっちゃえって」
「そうだ! 男らしく、玉砕しろ!」
その状況を面白がった者たちにより、「言ーえ! 言ーえ!」とそんなコールが巻き起こっていた。
「ちょっと、止めて! 静かにしなさい!」
困り果てた佐倉先生が叫ぶが、既に焼け石に水。悪乗りを集団の前で、最早あまりにも微力なものに過ぎない。
この時、私はじっと去河くんのことを見据えていた。無責任に騒いでる人たちとは違う意味に於いて、私には彼に注目する理由があった。
「……」
去河くんはやや俯き、拳をギュッと握っていた。その肩口を小刻みに、震わせながら……。
そして――それは突然のことだった。
――ガツン!
彼が立てた大きな音が、生徒たちの声を制する。
去河くんは頭――否、顔面を自ら机の天板に、強かと打ち付けていたのだ。
その音と行動により、強引に騒ぎを鎮めると――ゆっくりと顔を上げた去河くんが、睨みを利かせるように周囲を見渡してゆく。
そうしてから、ポツリとこう呟いた。
「悪いかよ……」
それと同時に、その鼻から鮮血が滴る。でもそれを気にすることもなく、去河くんは更に言った。
「俺が先生を好きだったら――なにか、悪いのかよっ!」
鼻血を流しつつ皆を睨みつけたその迫力は、ふざけ半分の生徒たちを圧倒的に凌駕していたのだろう。
「い、いや……別に……」
辛うじて佐川くんがそう応えた他は、誰も去河くんを茶化そうとはしなかった。