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クラス ×イト
第4章 けツらク 【藍山栞1】

    ※    ※


 その後の教室がどんな雰囲気だったのか、私の知る処ではなかった。何故かとその理由を言えば、私がこのクラスに於いて保健委員という役割を担っていたから。

 そんな故あって、私は鼻血を流す去河くんを連れて保健室に来ている。そして、保健の先生が不在であったことから、ついでに彼の傷の処置をしていた。

 とは言ったものの、特にこの私が手当に手馴れている訳でもなくて――。


「イテッ――痛えよっ! なんで今、鼻を摘まんだ?」

「だって……折れてないか、確認しようと思ったから」

「あれくらいで、折れねーよ。鼻血が出ただけだから、綿でも詰めときゃいいだろ」

「わかった。じゃあ、上を向いてくれない」

「あ、ああ…………ぎゃっ! そ、そんなにっ、グリグリすんなって!」

「あ、ごめんなさい……」


 何度も去河くんに文句を言われつつ、私は何とか彼の鼻の穴に綿を詰め込んでいた。

 すると、去河くんは自分の首筋をポンポンと叩きながら、私に言う。

「藍山、面倒かけて悪かったな。もう平気だから、お前は教室に戻れよ」

「そう……」

「……」

「……」

 私がすぐに立ち去らなかったのは、去河くんに訊きたいことがあったからだ。だけど、どう訊いたらいいのか、それが一向にわからない。

 すると去河くんは、そんな私を不思議そうに眺める。

「どうかしたのか?」

 そう訊かれた私は――

「佐倉先生のこと――好きなんだね」

 自分の興味事を、率直に口にしてしまった。
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