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クラス ×イト
第4章 けツらク 【藍山栞1】
率直であることが必ずしも、美点でないことは何となく知っている。
「藍山……お前も俺のこと、馬鹿にしてんのか?」
だから去河くんが、不愉快そうにしたのも無理もないのだろう。
だけど私には、彼をからかう気持ちは微塵もなかった。
「そうじゃないの。私はただ――」
「ただ――なんだよ?」
「生徒が教師を好きになる――その心理に、とても興味があるから」
「は?」
去河くんは少し驚いたように私を見て、それからこんな風に話す。
「心理なんて、小難しいこと知るか。『好き』は『好き』だろ。別に生徒と先生だったら、何かが違うって言うのかよ?」
「けれども――常識的に考えたら、その『好き』という気持ちが、報われる可能性など極めて低いはず。だったら、憧れ程度に留めておいた方がずっと健全かと」
「お、お前……よくそこまで、はっきり言えるな」
「別に貴方と佐倉先生がどうと言う訳ではなく、あくまでも一般的な話。教師と生徒の恋愛なんて、普通に考えたら成立し得ない。万が一成立したとしても、それは決して表立ってはいけないことでしょう。なのに――皆の前で、あんなこと言うなんて」
「チッ――俺だって、言いたくて言ったわけじゃねえし。先生が困ってる姿が、見てらんなくて。そしたら妙な流れになったから、つい勢いでよ……」
「だったら、訂正した方がいい。きっと噂になったら、先生だって困ると思うから」
「そんなの、遅せ―よ。今更、誤魔化したって同じことだ。また馬鹿な連中が、勝手なこと言うだけだろ」
「それでも、火消はすべきだと思う。そして貴方も先生のこと、早く諦めるべき。私はそう思ってる」
それを聞いて――去河くんの顔は、険しいものに変わった。
「藍山……お前も俺のこと、馬鹿にしてんのか?」
だから去河くんが、不愉快そうにしたのも無理もないのだろう。
だけど私には、彼をからかう気持ちは微塵もなかった。
「そうじゃないの。私はただ――」
「ただ――なんだよ?」
「生徒が教師を好きになる――その心理に、とても興味があるから」
「は?」
去河くんは少し驚いたように私を見て、それからこんな風に話す。
「心理なんて、小難しいこと知るか。『好き』は『好き』だろ。別に生徒と先生だったら、何かが違うって言うのかよ?」
「けれども――常識的に考えたら、その『好き』という気持ちが、報われる可能性など極めて低いはず。だったら、憧れ程度に留めておいた方がずっと健全かと」
「お、お前……よくそこまで、はっきり言えるな」
「別に貴方と佐倉先生がどうと言う訳ではなく、あくまでも一般的な話。教師と生徒の恋愛なんて、普通に考えたら成立し得ない。万が一成立したとしても、それは決して表立ってはいけないことでしょう。なのに――皆の前で、あんなこと言うなんて」
「チッ――俺だって、言いたくて言ったわけじゃねえし。先生が困ってる姿が、見てらんなくて。そしたら妙な流れになったから、つい勢いでよ……」
「だったら、訂正した方がいい。きっと噂になったら、先生だって困ると思うから」
「そんなの、遅せ―よ。今更、誤魔化したって同じことだ。また馬鹿な連中が、勝手なこと言うだけだろ」
「それでも、火消はすべきだと思う。そして貴方も先生のこと、早く諦めるべき。私はそう思ってる」
それを聞いて――去河くんの顔は、険しいものに変わった。