この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
クラス ×イト
第4章 けツらク 【藍山栞1】
私なりには、思い切って訊いたつもりだったけれど……。
「ハハハ――クラスの奴らが、そんな噂してるのは知っている。連中も年頃だから、その手の話題が好きなのもわかるよ。だから真面目に答えるのもどうかと思うが、それは事実じゃないぞ」
北村先生はそう言って、それを一笑に伏す。
「そうでしたか。妙なことを訊いてしまって、すいません」
「別に、それは構わんが――しかし、やや意外だよ」
「……?」
「藍山が――そんな噂を気にするタイプだとは、思ってなかった」
そんな風に言われた時。私の内面で、置き忘れたような感情がざわめいた。
「私、だって……」
「ん?」
惚けたその顔を向けられ。私はついに――
「先生は――藍山楓を、憶えていますか?」
秘め続けていた、その名を口にしている。
その後に訪れた刹那の沈黙。それが何かを、物語るものなのか。やや沈痛な面持ちとなり、それでも北村先生は冷静に語った。
「もちろん、憶えている。担任ではなかったが、授業を受け持ったこともあるからな……。今まで話さなかったが、藍山の姉さんだってこともわかっていたよ」
「それじゃあ……卒業してからの、ことも?」
「ああ……耳にしていた」
「そう……ですか」
その時――私はじっと北村先生を見つめていた。
けれど先生は――言葉にした以外のことを、私に教えようとはしていない。
「ハハハ――クラスの奴らが、そんな噂してるのは知っている。連中も年頃だから、その手の話題が好きなのもわかるよ。だから真面目に答えるのもどうかと思うが、それは事実じゃないぞ」
北村先生はそう言って、それを一笑に伏す。
「そうでしたか。妙なことを訊いてしまって、すいません」
「別に、それは構わんが――しかし、やや意外だよ」
「……?」
「藍山が――そんな噂を気にするタイプだとは、思ってなかった」
そんな風に言われた時。私の内面で、置き忘れたような感情がざわめいた。
「私、だって……」
「ん?」
惚けたその顔を向けられ。私はついに――
「先生は――藍山楓を、憶えていますか?」
秘め続けていた、その名を口にしている。
その後に訪れた刹那の沈黙。それが何かを、物語るものなのか。やや沈痛な面持ちとなり、それでも北村先生は冷静に語った。
「もちろん、憶えている。担任ではなかったが、授業を受け持ったこともあるからな……。今まで話さなかったが、藍山の姉さんだってこともわかっていたよ」
「それじゃあ……卒業してからの、ことも?」
「ああ……耳にしていた」
「そう……ですか」
その時――私はじっと北村先生を見つめていた。
けれど先生は――言葉にした以外のことを、私に教えようとはしていない。