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クラス ×イト
第4章 けツらク 【藍山栞1】
藍山楓(あおやま かえで)とは、私の五つ年上の姉である。だけど彼女と私の歳の差は、もう今年で二つだけとなった……。
楓姉さんは三年前のある日を境として、その時間を止めてしまっている。若く美しい姿を閉じ込めた写真は、家の仏壇の中に飾られていた。
「……」
この日――家に戻った私は、久しぶりにその遺影に手を合わせている。特に何かを報告できる訳でもなかった。只何となく、気が向いたように装う。
楓姉さんは高校を卒業してすぐに、その命を自らの手で終わらせてしまった。
姉の自殺――それこそがある意味に於いて、現在の私を形成していると言えよう。私はまだ――あの時から、一度も笑った覚えがない。
だからと言って、特に暗く沈んでいるのとも違っている。めそめそと泣くこともなければ、何かに怒りを感じるようなこともなかった。
私は残された微かな戸惑いを、それすらも誤魔化すようにして生きている。
只々――本が与えてくれる物語の中に逃げ込んでは――そんな日常の、途中だった。
楓姉さんは三年前のある日を境として、その時間を止めてしまっている。若く美しい姿を閉じ込めた写真は、家の仏壇の中に飾られていた。
「……」
この日――家に戻った私は、久しぶりにその遺影に手を合わせている。特に何かを報告できる訳でもなかった。只何となく、気が向いたように装う。
楓姉さんは高校を卒業してすぐに、その命を自らの手で終わらせてしまった。
姉の自殺――それこそがある意味に於いて、現在の私を形成していると言えよう。私はまだ――あの時から、一度も笑った覚えがない。
だからと言って、特に暗く沈んでいるのとも違っている。めそめそと泣くこともなければ、何かに怒りを感じるようなこともなかった。
私は残された微かな戸惑いを、それすらも誤魔化すようにして生きている。
只々――本が与えてくれる物語の中に逃げ込んでは――そんな日常の、途中だった。