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クラス ×イト
第4章 けツらク 【藍山栞1】
 私はふとそのペンネームを検索にかけ、今のサイトに辿り着いていた。

 最初は同じ歳の子が小説を書いていることに、ちょっとだけ興味を抱いただけだったと思う。

 しかし何時しか――私はその拙い物語から、目を離せなくなってゆく。

 読み進めれば進める程に、彼の書き綴る文章は私の中に入り込んでいった。

 下手で平凡で、何の刺激もないその小説に――何故?

 その理由は、とてもシンプルなもの。

 だって――登場人物の名前が違ったって、私にはわかる。


 それは――彼と私の物語だった。


 日々その中に書き続けられる――彼から私への想いの数々。

 それはきっと――どんな愛の言葉よりも、私の心に強く響いていた。

 およそ自分の感情というものを、見失いかけていた私にとって――。

 彼の小説だけが、激しく何かを私に――呼びかけているように感じさせる。

 だからといって、私が彼の気持ちに応えることなんてないのだろう。

 彼に限らず、私が誰かを好きになることなんて、今はまるで想像できない。

 けれど、それでも――私がこの小説の結末に、何かを期待しているのは確かであるのだ。

 私の欠落したものを、彼の想いが埋めてくれるかもしれない――なんて。


 それが、今の私の――仄かな想い、だった。 
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