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クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】
「僕のことはいいけど――要二、ホントに大丈夫なの?」

「平気だって。血なんて有り余ってるんだから、たまに抜いた方がいいんだよ。アレと同じだ」

 要二は笑いながらそう言うけど、僕が心配したのは鼻血を流したことよりも寧ろ内面の部分だった。

「それはいいけど。そうじゃなく、その……」

 口籠る僕を見て、要二も何か察したみたいだ。

「あの後、佐倉先生――どんな様子だった?」

 やや真剣な顔をして、要二がそう訊ねてくる。

「授業は続けていたけど、やっぱ少し、動揺してたみたいで……」

「そうだよな……。あーあ、迷惑かけちまったかな」

「どうして。要二は先生の為にって――それを迷惑だなんて、思わないでしょ?」

「だけどよ。先走ったのは、間違いないしな。全く――次に会った時、どうな顔すればいいのかねえ……」

 要二がそう言った、まさにそのタイミングだった。

 コンコン――と。扉をノックし入って来たのは、正に件の佐倉先生当人であり。


「去河くん、いますか?」

「は――はい! おります!」

 また鼻血を出すんじゃないかと思う程に、要二の顔が真っ赤に変わる。
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