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クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】
佐倉先生の訪れに、直立する要二。当たり前だけど、明らかに緊張していた。
「去河くん――鼻、大丈夫?」
「ええ、全然! 全く問題ないっす!」
鼻に詰めた綿に血を滲ませながら、要二は興奮気味にそう答えている。
佐倉先生はホッとしたような、微笑を浮べていて。その顔が、とても優しかったから。誰がどう見ても、それは綺麗な大人の女の人の魅力に溢れていた。
それはもちろん、要二にしてみれば言うまでもないのだろう。きっと僕の何十倍も、そう感じているに違いなかった。
カチコチに身体を強張らせる要二の顔を見て、佐倉先生は静かに語り始める。
「ゴメンね。先生が不甲斐ないから、去河くんに気を遣わせちゃったんだよね」
「いや、そんなの俺が勝手に――バカな奴らにムカついたからだから、別に先生が気にすることないよ」
「ありがとう。去河くんって――優しいのね」
「え? ハハ、いや――まあ、当然のことをしただけだって。なあ、英太」
思いっきり照れ隠しをして、要二は僕の背中をバンバンと叩く。力の加減をする余裕もなかったみたいで、僕は思わずむせ返りそうななっていた。
「去河くん――鼻、大丈夫?」
「ええ、全然! 全く問題ないっす!」
鼻に詰めた綿に血を滲ませながら、要二は興奮気味にそう答えている。
佐倉先生はホッとしたような、微笑を浮べていて。その顔が、とても優しかったから。誰がどう見ても、それは綺麗な大人の女の人の魅力に溢れていた。
それはもちろん、要二にしてみれば言うまでもないのだろう。きっと僕の何十倍も、そう感じているに違いなかった。
カチコチに身体を強張らせる要二の顔を見て、佐倉先生は静かに語り始める。
「ゴメンね。先生が不甲斐ないから、去河くんに気を遣わせちゃったんだよね」
「いや、そんなの俺が勝手に――バカな奴らにムカついたからだから、別に先生が気にすることないよ」
「ありがとう。去河くんって――優しいのね」
「え? ハハ、いや――まあ、当然のことをしただけだって。なあ、英太」
思いっきり照れ隠しをして、要二は僕の背中をバンバンと叩く。力の加減をする余裕もなかったみたいで、僕は思わずむせ返りそうななっていた。