この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】
「それよか、先生。逆に迷惑じゃなかった? 俺のせいで、また変なこと言われるかもしれねーし」
少し様子が変わったのは、要二が改めてそう訊ねてからだった。
佐倉先生は優しい笑顔のままだった、けど……。
「平気よ。それこそ、気にする必要なんてないわ。去河くんは、授業に不慣れな先生を庇ってくれただけなのでしょ」
「えっ……つーか、俺は……」
「ともかく――そんな生徒もいてくれるんだから、先生だってしっかりしなくちゃね。少し勇気を貰えた気がしてるの。そんな意味でも、去河くんには感謝してるんだ」
「……」
先生の話を聞いて、要二は顔色を元に戻し俯いていた。
そうなった理由は横で聞いていた僕でも、何となく理解できる。佐倉先生は要二の想いを、まるで相手にしようとはしていない。そんなことが、何となくわかった。
それは先生という立場なら、当然の対応なのかもしれない。だけど要二の友達として、僕は複雑な気持ちだ。
否、たぶん違う。友達だからというよりも、同じく誰かに片思いしてる者として。まるで自分の気持ちまで、無視されたような気が――してる。
その場の勢いだった。ちゃんした言葉でもなかったのかもしれない。それでも要二は勇気を出して、自分の気持ちを伝えた筈なのに……。
「英太――お前、もう行けよ」
要二にそう言われ――
「あ! そうだ。もう掃除の時間かぁ」
僕は白々しく、そう答える。
今、この場での僕は傍観者。これは要二と佐倉先生――二人の間の話。
そんなことを察すると、僕は二人を残し保健室を後にしていた。
少し様子が変わったのは、要二が改めてそう訊ねてからだった。
佐倉先生は優しい笑顔のままだった、けど……。
「平気よ。それこそ、気にする必要なんてないわ。去河くんは、授業に不慣れな先生を庇ってくれただけなのでしょ」
「えっ……つーか、俺は……」
「ともかく――そんな生徒もいてくれるんだから、先生だってしっかりしなくちゃね。少し勇気を貰えた気がしてるの。そんな意味でも、去河くんには感謝してるんだ」
「……」
先生の話を聞いて、要二は顔色を元に戻し俯いていた。
そうなった理由は横で聞いていた僕でも、何となく理解できる。佐倉先生は要二の想いを、まるで相手にしようとはしていない。そんなことが、何となくわかった。
それは先生という立場なら、当然の対応なのかもしれない。だけど要二の友達として、僕は複雑な気持ちだ。
否、たぶん違う。友達だからというよりも、同じく誰かに片思いしてる者として。まるで自分の気持ちまで、無視されたような気が――してる。
その場の勢いだった。ちゃんした言葉でもなかったのかもしれない。それでも要二は勇気を出して、自分の気持ちを伝えた筈なのに……。
「英太――お前、もう行けよ」
要二にそう言われ――
「あ! そうだ。もう掃除の時間かぁ」
僕は白々しく、そう答える。
今、この場での僕は傍観者。これは要二と佐倉先生――二人の間の話。
そんなことを察すると、僕は二人を残し保健室を後にしていた。