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クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】
要二は佐倉先生と、何を話すつもりなんだろ?
ううん、そんなことわかりきっている。要二はもう一度、自分の気持ちをちゃんと伝えるんだ。要二はもう、それができる奴だから……。
『どんな本、読んでるの?』
「……」
そのたった一言さえ言えない、僕なんかが心配することじゃない。
例えそれが届かなくとも、自分に言い訳して誤魔化してたら、一歩だって前になんか進めない。要二の行動は、僕にそんなことを思い知らせていた。
「――!」
清掃中の教室に戻ると、僕はその中に藍山さんの姿を見つける。彼女は両手で机を抱え、それを重そうに運んでいた。
普段はたまに窓際の席で本を読む彼女を、僕は眺めたりしている。その佇まいは切り取った一枚の絵画のようでもあり、それは否応なく何処までも憧れだった。
同じ教室に存在しながらも、僕は彼女をこの上なく美化し過ぎてしまうのかもしれない。だから好きという単純な気持ちにも、二人の間に圧倒的なまでに高い壁を隔ててしまうのだろうか。
だけど今、普通に清掃に参加する彼女は、間違いなく僕の手の届く場所にいる筈だ。手を伸ばせば、触れることだってできる。もちろん、しないけれど……。
それでも話しかけることくらい、別に難しくなんてない。話しかける理由もある。要二の手当をしてくれたこと。友達として、「ありがとう」と言っても可笑しくなんかない。
――ヨシ!
僕は意を決して話しかけようと、藍山さんに近づいて行った。
ううん、そんなことわかりきっている。要二はもう一度、自分の気持ちをちゃんと伝えるんだ。要二はもう、それができる奴だから……。
『どんな本、読んでるの?』
「……」
そのたった一言さえ言えない、僕なんかが心配することじゃない。
例えそれが届かなくとも、自分に言い訳して誤魔化してたら、一歩だって前になんか進めない。要二の行動は、僕にそんなことを思い知らせていた。
「――!」
清掃中の教室に戻ると、僕はその中に藍山さんの姿を見つける。彼女は両手で机を抱え、それを重そうに運んでいた。
普段はたまに窓際の席で本を読む彼女を、僕は眺めたりしている。その佇まいは切り取った一枚の絵画のようでもあり、それは否応なく何処までも憧れだった。
同じ教室に存在しながらも、僕は彼女をこの上なく美化し過ぎてしまうのかもしれない。だから好きという単純な気持ちにも、二人の間に圧倒的なまでに高い壁を隔ててしまうのだろうか。
だけど今、普通に清掃に参加する彼女は、間違いなく僕の手の届く場所にいる筈だ。手を伸ばせば、触れることだってできる。もちろん、しないけれど……。
それでも話しかけることくらい、別に難しくなんてない。話しかける理由もある。要二の手当をしてくれたこと。友達として、「ありがとう」と言っても可笑しくなんかない。
――ヨシ!
僕は意を決して話しかけようと、藍山さんに近づいて行った。