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クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】
机を運び終えて、ふっと一息ついている――藍山さん。
その背に歩み寄り――
「あのさ――」
何とか声を、絞り出した時だった。
「――!?」
僕と藍山さんの間にズイッと割り込んだ、背の高い大きな背中。それにより藍山さんを捉えていた僕の視界は、一気に妨げられてしまう。
「藍山――ちょっといいか」
僕に先んじてそう声をかけていたのは、クラスの委員長――西慶介。彼からしたなら、それは何の気なしの行動だろう。至って自然に、藍山さんと話を始めている。
「……」
僕は暫くぽつんと、その二人のことを眺めていた。
たったそれだけのことで、すっかり挫けてしまう僕の心。こんな風だからいつまで経っても、僕は藍山さんと向き合うことができないんだ。
そんなこと、わかりきっているのに……。呆然と立ち竦み所在を無くしていた僕は、そっとその場を離れている。
藍山さんは一人でいることが多いけど、こうして西くんと話している場面は度々見かけていた。実を言えば僕だって、それは気になっている。
もしかしたら西くんも、藍山さんのこと……。藍山さんはそれを、どう思っているのかな……?
ううん、そんなこと考えても無駄。今の僕にしてみれば、それ以前に改めなければならない点が多過ぎる。
僕が藍山さんに「好き」と言う日。そんな日は、本当に訪れるのだろうか。少なくとも今は、まるで想像が及ばないでいた。
その背に歩み寄り――
「あのさ――」
何とか声を、絞り出した時だった。
「――!?」
僕と藍山さんの間にズイッと割り込んだ、背の高い大きな背中。それにより藍山さんを捉えていた僕の視界は、一気に妨げられてしまう。
「藍山――ちょっといいか」
僕に先んじてそう声をかけていたのは、クラスの委員長――西慶介。彼からしたなら、それは何の気なしの行動だろう。至って自然に、藍山さんと話を始めている。
「……」
僕は暫くぽつんと、その二人のことを眺めていた。
たったそれだけのことで、すっかり挫けてしまう僕の心。こんな風だからいつまで経っても、僕は藍山さんと向き合うことができないんだ。
そんなこと、わかりきっているのに……。呆然と立ち竦み所在を無くしていた僕は、そっとその場を離れている。
藍山さんは一人でいることが多いけど、こうして西くんと話している場面は度々見かけていた。実を言えば僕だって、それは気になっている。
もしかしたら西くんも、藍山さんのこと……。藍山さんはそれを、どう思っているのかな……?
ううん、そんなこと考えても無駄。今の僕にしてみれば、それ以前に改めなければならない点が多過ぎる。
僕が藍山さんに「好き」と言う日。そんな日は、本当に訪れるのだろうか。少なくとも今は、まるで想像が及ばないでいた。