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クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】

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 次の朝。学校に向かう途中で、少し前を歩くのは見慣れた後姿。制服がパツンとなっている丸っこい背中に駆け寄り、僕は声をかけた。

「要二、おはよう」

「おう……英太か」

 と返事をした要二は、何処となく元気がない。

 僕は「どうしたの?」と訊こうとして、その言葉を呑み込む。それは流石に無粋だと感じていたからだ。

 僕がいなくなった後の保健室。そこで佐倉先生と話したことが、間違いなく関係してるのだろう。

「……」

 そんなことを考え、僕が黙っていると――

「なんだよ。なんか、言いたそうな面しやがって」

 その様子を察した、要二が言う。

 佐倉先生とのことは訊きにくいと感じ、僕は咄嗟に別の話題を思い浮べる。でもそれも、気になっていたことの一つだ。

「あ、そうだ。僕が保健室に行く前に、藍山さんと何か話してたよね?」

「ああ、やっぱ気になるよな」

「別に……それ程でも、ないけどさ」

「あ、そう。じゃあ、教えてやらねーっと」

 と、意地悪く笑う要二。ちょっと癪だけど、そこは素直に認めることにする。

「うん……気になる。だから、教えて」

「バーカ。最初から、そう言えって。藍山ってさ――意外とお節介らしいぞ」

「お節介?」

「教師を好きになるなんて、無駄だからやめとけってさ」

「藍山さんが要二に、そんなこと言ったの?」

「ああ」

 そんな藍山さんを、僕はとても意外に感じていた。
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