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クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】
「どうして、そんな風に言うんだろ?」

 僕は独り言のように、その疑問を口にする。

「知るかよ。でも、何かしら――事情はありそうだったな」

 要二は意味ありげに、そう答えた。

「事情って?」

「だから、知らねーよ。その先は、自分で訊いてみろって」

「それができれば、苦労しないよ……」

 つい弱気を零した、僕。

 それを見て、何故か要二は怒り始めた。

「聞いた風なこと、言ってんじゃねーよ! 苦労も何も、お前なんか何もしてねーのと同じだろうが!」

 突如として語気を荒げた要二を前に、僕は面食らう。

「ど、どうしたの……突然?」

「お前を見てると、イライラすんだよ。グジグジしやがって」

 そこまで言われれば、流石に僕だってムッとした。

「そんなの、今に始まったことじゃないし。なんだよ、急に大人ぶっちゃてさ。告白したのが、そんなに偉いの?」

 言い過ぎた――と思った時には、もう遅かったのだろう。

 要二は険しい顔を、みるみると紅潮させてゆく。そして――

「はあ? 言いやがったな、この野郎! だったらお前、藍山に告白しろよ! 同級生なんだから、そんなの簡単だろ? そして、さっさとフラれちまえ!」

「それが、死ぬほど怖いから、できないんだろ! どれだけ好きか知りもしないで、勝手なこと言わないでよ!」

 僕と要二は、たぶん初めて互いを本気で罵り合っていた。
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