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クラス ×イト
第5章 ほころビ 【乾英太2】
 その日の昼休み――。

「……」

 僕は弁当を食べながら、空いている向い席をふと眺めていた。

「要二くん、今日はどうしたんだろうね?」

 そう言ったのは、僕の隣りに座っている喜嶋三生だ。

 いつも何の違和感もなく、一緒にいた僕ら『D3』だけど……。今日は昼休みだけでなく、要二は一度も僕たちの処に来ようとしない。

 ううん、僕を避けてるんだ。

「どうだろ……お腹でも、壊したんじゃないかな?」

 僕はそんな風に、三生を誤魔化した。やっぱり要二は、朝のことを怒ってるんだよね。

 要二がいないだけで、一気に寂さを実感させられてしまう。喧嘩したことをとても気が重く感じていて、早く謝らなきゃって思うのだけど……。

「……」

 僕はふと視線を、窓際の席へ。藍山さんの姿を眺めると、心がきゅっと締め付けられていた。

 要二に言われたことは、僕も自覚していて。でもだからこそ、心がモヤモヤしてしまう。このままじゃ何となく、要二とはすぐに仲直りできない気がしてる。

 そんな感じで、ヘコんでいる僕に――

「ねえ――英太くん。ちょっと、お願いがあるんだけど」

 三生は改まったように、そう切り出した。

「お願いって?」

「無理なら、別にいいんだけど……」

 控えめな三生らしく、そんな前置きをした後。

「今日の放課後――少し付き合ってほしいんだ」

「放課後? まあ――いいけど」

「ホント? ありがとう」

 僕が了承すると、三生はホッとしたような笑みを零していた。
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