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金木犀
第6章 それぞれの思い
「人間として…1人の、男として。
俺は愛歩が好きなんだよ」
…やっぱり。
冷静に受け止められるのは、
愛歩に向ける表情、言葉、
愛歩の近くにいる俺に対しての嫌悪…
それらを知ってればすぐに理解出来る。
「…知ってます」
小さく呟くと、少し驚いたように俺を見つめ
自嘲気味に笑って俯いた。
「…はっ、…まぁ気付くよなぁ…。
…罵れば?実の妹を愛するなんて気持ち悪いって」
「言いません」
恋愛は理屈じゃないって…気付いたから。
「俺は、愛歩の事を「好きになる訳がない」って
思ってました。だから傍にいた…だけど、
一緒にいる内に必要不可欠になっていきました」
「身体目当てじゃないのか?」
嘲笑うように吐き捨てる愛歩の兄貴。
…本当の事を、話そう。
「…正直言うと、最初は愛歩の存在を性欲処理としか
思ってませんでした。都合よくて可愛い…
相性のいい相手が見つかったって思ってました」
「…っは、さいてー…。
俺の可愛い妹は性欲処理に使われてたって訳だ?」
「…」
利害の一致っつーか…両方公認済みって事は
言わない方がいい…よな、うん。
「どこか惹かれる所があるのはいつも感じてました。
でも俺はそれを否定し続けた…
俺は、女を本気で好きになった事がないんです」
「…寂しいやつ」
…何とでも言え。
今の俺は本気で…愛歩の事を愛してる。